糖尿病の初期症状

糖尿病の初期症状は口渇、多飲、多尿、疲れやすさなど

血糖値が上がり、尿に糖が出る。これは糖尿病が「完全にできあがった状態」です。その前の「糖尿病予備軍」と呼ばれる状態で生活を改善すれば、早く健康な状態に戻せます。

ただし、糖尿病予備軍の状態では症状がまったく出ないため、自分で気づくことはむずかしく、会社や地域の健康診断で血液検査を受けて初めてわかることが多いのです。

本人が気づかないうちに血糖値の高い状態が続くと、やがて特徴ある症状があらわれてきます。多くの人が経験するのは、異様なほどの「のどの渇き」であり、医学用語で「口渇」と言います。これは、体内のインスリンの作用が不足していることをあらわすサインのひとつであると考えられます。

のどが渇いてたくさん水分をとれば、トイレに頻繁に通い、尿がたくさん出ます。夜中に何度も起きてトイレに行くようになります。そして、尿といっしょに体内の糖分が出て行ってしまいます。すると、からだのなかの代謝機能がますますうまくいかなくなり、疲れやすくなりれやすくなり、太っていた人もやせてきます。これらはすべて糖尿病という病気が起こしている現象です。ダイエットが順調にいって急に体重が減ってきたのかと思ったら、実は糖尿病であったという事例もあります。

これらの症状は見逃されやすく、「後でよく考えれば、そういうことがあった」と気づく場合もあります。「のどが渇くぐらいなら、たいしたことではない」と考えてしまい、異常な変化が起きているという自覚を持ちにくいのです。

また、「なんだかおかしい」と、うすうす感じていても、病気であることを受け入れたくないという思いが先に立ち、現実から逃げてしまう人もいます。本人よりも先に家族が「なんだかおかしい」と気づいたら、なるべく早く病院へ行くように勧めてください。糖尿病は、「脂質異常症」等と同じく初期症状のない病気として有名です。定期的な血液検査は勿論のこと、前述した症状があれば直ぐに病院に行くのも進行を早めない方法です。（高中性脂肪等の脂質異常症を放置するとどうなる？）

思い込みは危険

「仕事が忙しくて疲れているだけ」と思ってそのままにしていたら、健康診断で糖尿病であると言われたという人もいます。からだのだるさは、糖尿病であらわれる症状のひとつです。「仕事のせい」だとか「ストレスがたまっているからだ」と思いがちですが、実は糖尿病が隠れている場合が少なくないのです。一少し休めば疲れがとれる」と簡単に考えているうちに、疲れがひどくなってきたり、なかなか疲れがとれなかつたりしたら、すぐにかかりつけ医に相談して必要な検査を受けてください。

糖尿病の疑いがあれば、専門医へ紹介してもらえます。「体重が急に2キロ減った」という人の血液を調べてみたら、ヘモグロビンA1cの値が１０％だったという高い数値だったことがあります。正常値は4.3～5.8であり、6.5以上あれば糖尿病とみなされます。

このような方はかなり長い期間、血糖値が高い状態のまま見逃されていたであろうと考えられます。ヘモグロビンA1Cは、採血時から過去1、2力月の平均血糖値を反映する数値です。糖尿病の治療が始まったら、定期的に病院で血液検査を受けてへモグロビンA1Cを調ベ、自分で血糖値をコントロールする目安にします。

あるの大規模糖尿病研究によると、ヘモグロビンA1Cが8％の人のすい臓を調べたところ、インスリンを作り出す細胞がすでに50％も破壊されていたそうです。この段階になっても、からだにはまったく痛みや症状が出ない場合が多く、糖尿病を自覚症状で発見するのは非常にむずかしいのです。定期的に健康診断を受けて血液検査をすることが、糖尿病の早期発見、早期治療の最大のポイントです。